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2013 07,27 11:09 |
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劇場版魔法少女まどか☆マギカBD/DVDが発売されてから3日。
本編ももちろんそうですが、OSTもずっとリピート再生していました。 1月に劇場で見た際に書いた感想記事ですでにいろいろ劇中音楽について語りましたが、 OSTを何度も聞いた今、新しく気づいたことや、前に書いた事についての補足をここで言ってみたいと思います。 なお、今までの感想記事同様、 勝手な(というか完全に自己満足な)評論やかなり否定的な意見も交えているので、 そういうのを好まない方は、見ない事をおススメします。 あとネタバレ満載なので注意。 というわけで、本文はつづきからどうぞ。 とりあえず、OSTを聞いて気づいた事をを以下の二つのパートにわけて語りたいと思います: 1. 曲自体について 2. 曲と映像・プロットとの組み合わせについて 1. 曲自体について ここではまどマギという作品に関係なく、曲自体から聞き取れる作曲技法などについて話したいと思います。簡潔に言えば、OSTでちゃんと聞いた事によって、劇場で聞いた時より評価が上がる点もあれば、評価が下がる点もありました。 1.1 評価が上がった点:音楽的に面白い曲は多かった やはり画面なしで曲だけ聞いていると、思った以上に面白い曲が散りばめられている事がよくわかります。 例えば、「witch World #1」。劇場では派手な映像に目を引かれがちで気づきにくいのですが、実はごく普通のABAのクラシカルな弦楽四重奏だと思わせておきながら、2回目のAに大量の不協和音を入れることによって「予想外」の曲調を作り出しているわけですね。そして、やがて3度目のAにて不協和音は協和音に解決し、徐々に追加されたパーカッションと共に曲を終える。シンプルながらも面白い構成となっています。 さらに印象的だったのは「wo ist die kase?」。シャルロッテ戦で使われた曲ですが、低音のオスティナートが鳴り続けている中、子供の声のコーラスがまるで労働歌のように「wo ist die kase?」(チーズはどこだ?)とひたすら歌い続ける。うまい具合に不気味な雰囲気を演出できています。ただ、どうせ労働歌の形式をとるなら、労働歌でよくあるコールアンドレスポンスなどの技法を使えば、もっと面白くなっていたと思いますね。 他にも、5拍子から3拍子に変わるという変則的なリズムをとった「she is a witch」、頻繁に転調しながらも自然で美しい「I miss you」など、音楽的に工夫がされた曲がいくつかありました。 これらは劇場で映像を見ながらだと、なかなか気づけなかった点でしたね。 1.2 評価が下がった点:instrumentationにおいての単調さ 音楽的には面白い曲が多かった一方、instrumentation(日本語だと「楽器法」ですがちょっとニュアンスが違ってしまうので英語で。要するに「作曲においての楽器の使い方と組み合わせ」の話だと思ってください)においてはとても変化に乏しい印象を受けました。一応劇場の感想記事でも書いた事なんですが、ほとんどの曲が典型的な西洋音楽のinstrumentationなんですよね。具体的に言うと、ストリングスによるメロディーor伴奏を主軸とした曲しかない。 例えば、TV版のBGM「Sis puella magica!」のアレンジである「fateful #1~4」。4つもバージョンがあるにも関わらず、そのうち3つがストリングスでメインメロディを弾きなおしているだけという。いちおうテンポを変えたりメロディの音符数個をずらしていたりしますが、それでもどれも同じ曲に聞こえてしまいます。 また新曲である「encounter」や「odd world #3」なども、基本的にはストリングスによるメロディに重いパーカッションを加えているだけ。曲調が違うように聞こえる「short aetion」や「a human bullet」も、リズムこそはエレキギターやエレキベースなどロックな楽器を使っていても、主軸となるメロディは結局バイオリン任せになっています。 なので、OST全体を通して、instrumentationのバラエティが乏しく、楽器や音色の種類がすごく限定的で単調という印象を受けてしまいます。 実際、劇場版OSTでは37曲中25曲(約7割)がストリングス主軸なんですよね。これでは変化が乏しいと思わざるを得ません。 「ストリングスは普遍的なinstrumentationなんだからよく使われて当たり前じゃないか」と言われればそうなんですが、実際TV版のOSTを聞いてみるとそうとは限らないのです。 例えば、TV版の次回予告や10話のほむら特訓シーンに使われた「Salve, terrae magicae」は楽器的にも和音的にも西欧のケルト音楽の要素を取り入れています。アイリッシュフルートやリュートなど民族的な楽器で特徴的な雰囲気を作り出しているんですね。「Decretum」もそうです。他にもポリリズミックな「Agmen Clientum」、エレクトロニックで多彩な音色を使う「Pugna cum maga」、ザンプルを多用した「Incertus」など。要するに典型的な西洋音楽の楽器だけでなく、様々な世界音楽や現代音楽の楽器を駆使しているんですね。そこが劇場版OSTとの大きな違い。 ちなみにTV版OSTではストリングス主軸の曲は38曲中17曲(約4割)です。劇場版OSTの37曲中25曲(約7割)よりは全然少ないですね。 ここで要約すると、劇場版OSTをちゃんと聞く事によって、その楽器法の単調さがさらに気になるようになってしまった。世界音楽や現代音楽などの要素を取り入れて多彩な音色を聞かせてくれたTV版OSTと比べると、劇場版OSTはどうも物足りないと感じてしまった。それによって評価が下がった、という感じですね。 余談ですが、どうも最近の梶浦さんの曲は上記のような傾向が強くなってきているんですよね。アニメ「Fate/Zero」や「ソード・アート・オンライン」のOSTも「とにかくオーケストラで壮大な曲を作ろう」みたいな感じでしたし。また、梶浦さんが作曲を担当しているKalafinaというユニットの曲も、初期の「Seventh Heaven」の頃はJ-Popに世界民族音楽や20世紀音楽の要素を入り混ぜて面白い曲を数々送り出していたのですが、最近の曲は普通のJ-Popかあからさまにエキゾティックなものしかないんですよね…… いやまぁ別に悪い事ではないと思いますけどね、個人個人の好みに準ずる問題ですし。ただ僕的には梶浦さんが書かれる曲の魅力の本質はやはり「音色」の扱い方なので、どちらかというとKalafina初期やまどマギTV版OSTにあったような、音楽的と楽器的に多彩な作曲法の方が好きですね。 まぁ、そういう感じで今回の劇場版の音楽に対する評価は上がりも下がりもしました。というわけで、OSTの曲自体の話はここまでにしておきたいと思います。 2. 曲と映像・プロットとの組み合わせについて 劇中BGMの話となれば、やはり映像との組み合わせについても語らなければいけません。これに関しては、作曲者の梶浦さんとは恐らく関係ないですね。すでに作られた曲をどう使うか、という作業なわけですから。 劇場での感想記事ですでに何度も言っていましたが、僕は今回の劇場版の演出・作画に大満足している中、唯一音楽の使い方に対して不満を抱えています。 問題点を簡単に言うと、「何でもかんでも大きくしすぎ」。映画全体のプロット構成に気を配らず、全てのシーンをBGMで壮大にしよう、という風に作られていると感じざるを得ないのです。それにより、大きく分けて二つの悪影響を及ぼしています: ・各キャラクターやエピソードが本来の役割から外れてしまう ・ダイナミックさが失われ、盛り上がるべきシーンでイマイチ盛り上がらなくなる これを一つずつ見てみましょう。 2.1 各キャラクターやエピソードが本来の役割から外れてしまう 「魔法少女まどか☆マギカ」という作品では、メインキャラの5人は誰も等しく重要なのですが、それでも物語上ではそれぞれ違う「役割」を持っているのですよね。例えばマミさんは魔法少女の表面的なシステムをまどか達や視聴者に伝える役割、そしてほむらは序盤のミステリー要素、など。ただ、劇場版での「大きすぎる」BGMの使い方は、キャラクター達を本来の「役割」から外れさせてしまうんですよね。 その問題が一番顕著なのはさやかの魔女化シーン。魔法少女はやがて魔女になり、振り撒いた希望の分だけ呪いを撒き散らすという残酷な真実がわかるシーンですね。TV版では物静かに唸るような曲「Decretum」が流れたのに対し、劇場版ではまるで悲鳴のように歌う女性の歌声が絶望感を誘う壮大な曲「she is a witch」が流れました。これによって絶望感は増大したのですが、結果的にさやかの物語上の「役割」に反してしまった、と僕は思います。 何故かというと、さやかの物語上の「役割」はあくまでも「魔法少女システムの秘密が暴かれるキッカケとなる事」。酷な言い方になりますが、僕達視聴者すら絶望するほど悲惨な彼女のエピソードは、あくまでも一般的な魔法少女サイクルを再現したものにすぎなかったわけです。言い方を変えれば、「普通の事」だったんです。それ故に、このシーンは「残酷」でありながらも「悲壮」であってはいけなかった。 では、どういう演出であるべきだったのか? それは正にさやかのモチーフになっている「人魚姫」のように、憧れの王子様(恭介)どころか誰にも知られる事無く、儚く退場していくような凄然とした感覚。 なので、「she is a witch」のような悲壮な音楽ではなく、TV版の「Decretum」のように、孤独で、凄切で、儚くも美しいような曲であるべきだと、僕は考えます。 そういう意味では、劇場版での11話~12話相当部分のBGMの使い方は合っていると思いますよ。ラスト2話は劇中で初めて魔法少女システムに反抗する、宇宙スケールのエピソードなので、壮大であるべきなのです。なので、劇場版で新しく追加された「her wings」や「rebirth」は上手くシーンにマッチしていると思いました。 以上の点を要約すると、何でもかんでも壮大にして必死に視聴者の涙を誘うよりは、ちゃんと各キャラクターの物語上の役割を踏まえた上でBGMを選んで欲しかった、という事です。 まぁ逆に考えれば映画の構成上仕方の無い事もしれませんけどね……さやか魔女化シーンは前編の締めでもあったので、物静かに終わってもおかしいですしね。それでももうちょっと工夫できたとは思いますが。 2.2 ダイナミックさが失われ、盛り上がるべきシーンでイマイチ盛り上がらなくなる これは劇場の感想記事でも言いましたね。基本的に全てのシーンにBGMがかかっているので、結果的に盛り上がるべきシーンでBGMの効果がイマイチになってしまいました。 例としては、主人公まどかの契約シーン。これは紛れも無く物語のクライマックスシーンなので、まどかが願いを言う時点ではBGMを流さず溜めておき、その後の全魔法少女救済シーンで流れる「Sagitta Luminis」で一気に盛り上げるべきでした。 劇場版のように、まどかが願いを言うシーンからすでに「Decretum」を流していたりすると、救済シーンとのコントラストが薄れてしまい、視聴者にとってのクライマックス感が薄れてしまうんですよね。そういう意味で、劇場版でのBGMの使い方は「大きすぎた」。 個人的見解ですが、映像において「動」と「静」の対比が大事なのと同じように、劇中音楽も動静の対比でダイナミックさを備えないと、視聴者の感覚が麻痺してしまい、結局肝心のシーンでBGMの効果が薄れてしまうと思うんですね。まぁこれに関しては感じ方は人それぞれなんですが。 ということで、劇場版での音楽と映像・プロットの組み合わせにおいては、劇場で見た時と評価は変わらず、あまり満足できるものではありませんでした。偉そうに言ってしまいますが、もう少しキャラクターの役割や物語の構成を考慮して、音楽をつけてほしかったものです。 うわぁ……いつの間にか悪口だらけになってる…… 誤解されないように言っておきますが、僕は決して今回の劇場版を批判するつもりはありませんし、 まどマギが僕の中で最高のアニメ作品である事も変わりません。 実際、この劇場版に対しての満足度も、100点満点中100点と言っても過言ではありません。 ただ、TVシリーズに対しての満足度が100点満点中200点というレベルだったので、 少し「あれっ?」って思ってしまったんですよね。「もっと良くできたはず!」的な。 自分で言うのもおかしいですが、作品に対する愛あってこそのコメントだったと思ってくださいw 梶浦さんの作曲に対してもかなり上から目線な事を言いまくりましたが、 それでも素晴らしい曲を書いてくれる、尊敬すべき作曲家である事は変わりません。 ともかく、もし上のレビューのせいで気分が害されたという方がいましたら、申し訳ありません。ですが僕はあくまでもまどマギという作品が大好きでこのようなレビューをしているんだと理解してくだされば、嬉しい限りです。 いやぁ、それにしても長い文章だった。ドラフトも入れると書くのに2日かかりましたww 果たして読んでくれる人はいるのか。いやまぁもともと自己満足のレビューだからいいんですけど。 書き終わって気づいたのですが、ここまで時間をかけて本編を見直したり、OSTを聞いて分析したり、文章を書いたりしたのって、アニメではまどマギ関連でしかやった事がないんですよね。というか、まどマギでしかそういう事やる気力がないというか。 果たしていい事なのかどうかはわかりませんが、改めて自分がこの作品をどれくらい好きなのか知る事ができたと思います。 このまま、今年秋公開の新編「叛逆の物語」にも期待したいと思います。 アメリカでの公開も決まったようですし、運よければ年内に劇場で見れるかも。今から楽しみでしょうがない。 さて、この記事はそろそろ終わりにします。 もし最後までつきあってくださった方がいましたら、ぜひ大きな感謝をしたいと思います。ありがとう! 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叛逆は百点中1,000点だわw
【2013/11/0502:07】||なかやん#532bc4649c[ 編集する? ]
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